彼はこの時間が一日の中で一番好きだった。水平線に沈む太陽の動きが、巨大な動物のように感じられるからだ。
『04.海辺にて』より

文章実験室

一次創作/短編

錬金術師が化学を発展させたように、作家も文学を発展させていく。

  • 01. 強迫症状

    夢をみたくないがために眠りたくないと訴える患者。担当医は明日、同じ時間に再度会う事を約束し、患者は診察室から出るが・・・。

  • 02. 蜘蛛恐怖譚

    ある嵐の夜。エンジンの故障により車が動かなくなってしまった“私”は、近くの民家に助けを求める。その民家には蜘蛛の生態について研究する学者が暮らしていた。

  • 03. 二人の作家

    同じ年に著名な賞を共に受賞し、作家として活躍する二人が再会する。それぞれの近況を語り合う内に、一人が、作家としての悩みを打ち明ける。

  • 04. 海辺にて

    夕暮れ時の海辺にて“彼”は全裸の“白い男”に出会う。迫り来る波の音の向こう、“彼”は幼い時に聞いた声を思い出す。